[R]
部屋に入ると、挨拶もそこそこに土方は総悟の体を抱き寄せた。総悟の背に腕を回すと、総悟も土方の胸に顔をうずめた。 しばらくそのままお互いの体温を分け合った後、土方が総悟の背に手を添えて両脚をすくう様にして横抱きにする。
部屋の奥にある布団の上に総悟の体をそっと下ろすと、土方は総悟が身にまとう渋柿色の振袖の裾を乱して手を侵入させた。土方の手が、総悟の太腿をさする。
「ん……」
総悟の体がびくんと震える。土方が静かに顔を寄せてうろたえる総悟の口を吸ってやると、ぎこちなくも細い両腕が土方の首にまわった。
「総悟、息しろ。止めるな」
あれから、もう幾度か体を重ねているのだが口付けにはまだ慣れていないのだろう。総悟の肩は震え、呼吸が乱れている。土方は総悟の頰に手を添えて、触れるだけの口付けを幾度も落とした。
「もっとさわってもいいか……?」
頬を紅潮させた総悟が、濡れた唇を少し開けたままこくりと頷く。 まだ唇しか合わせていないのに、そんなに蕩けきった表情を見せられてしまってはたまらない。土方は喉を鳴らした。
土方は総悟の体を引き寄せて自分の膝の上に乗せると、後ろから総悟を思い切り抱きしめた。白い首筋に唇を這わせて、音を立てて吸い付く。 総悟の小さな手が、胸元にある土方の腕の上に重ねられた。
土方は腕の力をさらに強めて、総悟の体を自分に密着させる。
この瞬間が、何よりも愛おしい。ここ最近、土方はこうして総悟のにおいを吸い込みその白くなめらかな肌を吸わなければ落ち着かなくなっていた。
土方は少しずつ腕の力を弱めていくと、総悟の頰に唇を寄せて聞く。
「脱がせて、いいか?」
答えが何であれ、着物は脱がせてしまうのだができるだけ優しくしてやりたい。そう思って、土方はいつも総悟に伺いを立てていた。
「うん……」
不安げに瞳を揺らすも、総悟は素直に首を縦に振る。
土方は両手を総悟の胸元の身八つ口に差し入れた。長襦袢の上から総悟の胸の粒を掌で撫ぜると、小さな悲鳴が上がる。
「ここ、気持ちよくしような……」
土方は二つの粒の先端を押しつぶし、円を描く様にして指先を動かした。
「ぁ……ッ、だ、め……!」
「だめじゃねェだろ?」
土方は笑いながら先端を摘まんですり潰す様にして刺激を与える。布越しにもわかるぐほどにすっかり立ち上がってしまったそこをピン、と弾く。
「ちゃんと直接触ってやるから、気持ちいいって言ってみろ」
土方は総悟の着物と襦袢の襟を大きく広げさせると、露わになった総悟の敏感な先端を指先で潰す様にして苛めた。
「うぁ……ッ」
刺激を与えるたびに、総悟が身を震わせて悶える。 どんなに些細な指の動きにもいちいち反応するのがたまらず、土方は執拗にそこを攻めた。 根元から揉み込む様にして刺激を与えたと思ったら、先端に爪を立ててぐりぐりと押しつぶす。
「もう……やめて……」
絶え間なく粒を指で捏ねくりまわしていると、総悟が頭を横に振って抗議する。パタパタと涙がこぼれた。
「いやじゃねェよな? いいんだよな?」
胸を弄る指を止めずに、土方が総悟の耳元で囁いた。
「ぁ……、ぁあッ……、ぃい……っ」
「ん、じゃあもっと、気持ちよくなろうな」
すっかり熟れてしまった先端を思い切り引っ張られて、総悟の腰が疼いた。
「あ……もぅ、きもちいの、きちゃ……ッ」
上下左右に粒を捏ねられ続け、総悟の体がびくびくと痙攣する。
「あ、ぁあ、あ……ぁぅ……ぁ…………」
そのまま力が抜けていく総悟の体を抱きしめて、土方は満足そうに笑った。
「もう、イっちまったのか……?」
「ふ、ぁ……」
総悟の下は、濡れていない。
「いい子だ……」
土方は完全に力が抜けてしまった総悟の顔を振り向かせると、唇に吸い付いた。 総悟の腰をまさぐり、緩んだ金糸の刺繍の帯を取り去る。 ほぼ腕に通っているだけの着物を纏わせたまま総悟の両脚を抱え上げて大きく広げさせた。
「ここ、ちゃんと気持ちよくしてきたか……?」
土方は総悟の秘部の入り口に爪の先を差し込む。浅い呼吸を繰り返す総悟が、力なく頷いた。
「中、確認するぞ……?」
こくり、と再び細い首が動くのを見て、土方が沖田の頰に顔をすり寄せる。 土方が指を進ませ、総悟の中の入り口をトントンとたたく様にして擦った。
「ここ、いいか……?」
「だいじょうぶっ……」
「じゃあ、こっちは」
「ぁ、ぁ、ん……ッ」
「いいかどうか聞いてんだけど。どっちだよ」
総悟の中で、土方の指が上下に動いた。
「ぁ……、だめ、それっ、や、だめ……!」
総悟の体が大きく震えた。
「ちゃんと、いいって言ってみろ」
「ん……ぁ、ぁん、」
「ほら」
土方の長い指がぐるりと総悟の肉壁をなぞる。
「ひゃあ! あ、ぁ……ぃい……」
「ん?」
土方は指を抜き挿ししながらもう片方の手で総悟の太腿を撫ぜる。総悟がその小さな足の先まで震わせて泣きながら言った。
「あ……いい、そこ、気持ち、いい……!」
「……いい子だ」
素直に反応する体と涙に濡れる白磁の表情が、たまらない。清廉さを奪っているはずなのに、美しい。
「総悟……」
震える肩口に額を置き、いつもの総悟の匂いを吸い込んだ。
「もう、欲しいか?」
差し入れたままの指を奥に進めて、真っ赤になってしまっている耳の近くで囁いてやる。 総悟は震えて嬌声を上げるだけで、まともな返事を返せない。
「それとも、またこっちで遊ぶか……?」
先ほど弄り倒したぷくりと膨れ上がった桜色の胸の突起を指の腹で擦ってやると総悟の細い腰が揺れた。
「なぁ、どうする? ん……?」
「ひじ、かたさんの、いいようにッ、してくだせ……ッ」
息も絶え絶えに答える総悟の頰に横から口付けると、土方は口の端を上げた。
「ん、じゃあ両方で感じてみるか」
「え?」
総悟の大きな緋色の瞳から、涙の粒がこぼれる。
「あっ、あぁんッ、あっ、あっ……ッ」
完全に止まっていた土方の指が突然総悟の中を動き回った。 ほぼ同時に沖田の胸を土方の指が押しつぶすと、きゅう、と中が締まり土方の指を締め付けてしまう。
――相変わらず、すげェな。
総悟の中を突くたびに得られる快感への期待に、土方は引き続き指で敏感な部分を探っていった。
「総悟……」
秘部をかき回していた指を抜き去ると、土方は総悟の顔を後ろに向かせた。 赤い目の焦点が合っておらず、すでに顔は快感の涙でぐっしょりと濡れていた。目の縁をそっと舐め、唇に触れるだけの口づけを落とす。
「ごめんな……」
土方は総悟の細い腰を両手で掴み体を持ち上げると、天井を向いている自分自身にあてがい一気に突き刺した。
「ひぁあッ……!」
掠れた声を上げて、総悟の体が痙攣する。土方を搾り取る様にして、沖田の中がきゅう、と締まった。 強い快感に危うく持っていかれそうになってしまうが、土方はなんとかやり過ごす。
浅く呼吸を繰り返す総悟の頰に唇を寄せ、胸元や腰を撫ぜながら土方は腰の動きを強めていった。
◇
ぐったりと体を弛緩させている総悟を布団に横たえると、土方は備え付けのタオルで簡単に顔や体を拭いてやった。
今日も、一度の射精では放してやれなかった。 最中、総悟の体は悲鳴と共に幾度も痙攣を起こしたようにぐったりとしていた。
あの日以来、土方は以前にも増して足繁く茶屋に顔を見せるようになっていた。白く小さな体を開いて自身を埋め込みひたすらに揺さぶる。 特に討ち入り後は、総悟でないともう満足できなかった。今日も攘夷志士らの会合現場に踏み込んだ後、屯所で最低限の仕事を行うとすぐに茶屋に出掛けた。
土方は散らばっていた自分の衣服を再び身につけると、懐から煙草と監察からの報告書を取り出した。 煙草に火をつけ煙を吸い込むと、その報告書を改める。
数週間前から、廓や女郎部屋の遊女が失踪する事件が立て続けに起こる様になった。 いずれも天人が多く出入りしている店の人気がある女たちだったという。
報道規制が敷かれていて公になっていはいないが、先日は日本橋の色子が失踪した。数日経つが、色子の消息は不明だ。 人身売買の可能性が浮上していて、真選組も捜索の一旦を担っていた。
地球人を好む天人は多く、高値でも買い取ろうとする輩はいくらでもいる。 現にこの茶屋も、そうした天人の欲望を満たし多額の利益を出すためにあるようなものだ。
今はターミナル近辺の倉庫群を監察方に探らせ、巡回を強化している最中だった。怪しい動きがあり次第、踏み込む可能性も大いにある。
――叩けば埃が出てきそうな場所ばかりだな……。
監察方からの報告を見る限りでは、日を置かずにまた現場に踏み込むことになるだろうと土方は予感した。 今夜はこの部屋で休むつもりで来たが、一度屯所に戻り武器や隊士らの負傷状況を把握する必要があるようだ。
「あ……すいやせん。ちょっと、ぼうっとしてたみてぇで」
いつの間に目を覚ましたのか、総悟がむくりと体を起こして文机の前にいる土方を見ていた。
「無理すんな」
総悟は渋柿色の振袖を再びまとい、歩き出そうとした。
「ぁ……」
しかし、一歩踏み出そうとしたところでその体が崩れ落ちる。
「おい」
土方は布団にへたり込んでしまった総悟の体を布団に横たえた。
「悪いが、今日はこれで引き上げる」
総悟の手を握り、指を絡める。
「明日の夜、また来る」
土方は身をかがめて今にも閉じてしまいそうな総悟の瞼に口付けを落とした。
◇
「どうぞ」
徳利を両手に持った総悟が、差し出されたお猪口に酒をなみなみと注ぐ。 以前行われた宴会の時とは異なり、お猪口を持つ手は肌色、地球人の色そのものだった。
総悟の隣に座る男は、侍らしい。
座敷に上がる前に、店の女中や新人の陰間らが腰ものを預かっていた。 こうして天人や僧侶以外の宴会が催されるのは珍しい。先ほど店主が面々の笑みで客人らを迎えていたのにも納得がいく。
土方が茶屋の一室を借り上げるようになってからというもの、店主が幕僚や侍の贔屓客を増やそうと躍起になっていたことは総悟も知っている。 しかし島後の隣で酒をちびちびと飲む男が土方らと同じ侍だとは到底思えなかった。
身なりはいい。上等の着物を着ているのは一目でわかった。しかしそれだけのように感じられた。特に、覇気が感じられない。 そのくせ先ほどから何か品定めをするように総悟をじろじろと見てくる。
ここはそういう場所だということがわかっていても、やはり居心地は悪かった。 今回も人出が足りず、店主がどうしてもというのでこうして酌をしているだけである。
それに、今日も土方は茶屋を訪れると言ってた。土方が姿を見せ次第、前のように女中が知らせに来てくれる――総悟の頭の中は、土方のことで一杯だった。
今夜も、昨晩のように優しく、執拗に攻め立てられるのだろうか。土方の大きな手が、自分の背や腰、それに太腿に触れる瞬間を思い出してしまい、 総悟は徳利を抱えたまま下を向いた。腰が、震えそうになる。
今夜土方を迎え入れるために、今日も自分の指で中をほぐした。もうすぐ土方が現れると思うと、総悟は体の中心や胸元にじん、と熱が集まる気がした。
かちり、と隣に座る客が箸を置く音に総悟は我に返る。はっとして客の小皿を見ると、肴がなくなっていた。
「別の皿をお持ちしやす」
代わりの皿を持ってこようと立ち上がろうとした総悟の体に、男の腕が巻き付いた。 咄嗟に体を反転させて腕から逃れようとした総悟の首筋に、ちくりとした痛みが走る。 あ、と小さな声を上げて、総悟の体から一気に力が抜けていった。緋色の瞳も、閉じられてゆく。
倒れかかった総悟の体を客が受け止める。総悟の意識が完全になくなったことを確認して、やけに嬉しそうに笑った。
「どうやら酔っちまったみたいだな。二階で休ませてもらう」
客は総悟の体を抱きかかえて席を立つ。スタスタと出口に向かうと、宴会場から離れた上階へと続く階段を通り過ぎて茶屋の裏手に向かった。
◇
「あの、申し訳ありません」
土方が茶屋のいつもの部屋で仕事をしながら総悟を待っていると、女中が突然頭を下げた。
「どうした」
普段であれば、土方の来訪を聞きつけると総悟はすぐに姿を見せる。土方は筆を止めて女中を見た。
「今夜は珍しく地球人のお客様がたくさんいらしていて、総悟さんもそこのお手伝いに」
「なら呼び戻せばいいだろう」
以前にも同じ様なことがあった。天人の宴会に駆り出された総悟の体に軟膏を塗ってやった時のことだ。
「……総悟さんのお姿が、見当たらないのです。宴会場にも、茶屋の他のお部屋にも……」
「どういうことだ」
困惑する女中の顔を見て、土方が立ち上がる。
「確かに、先ほどまで宴会場でお客様のお酌をしていたはずなのですが、」
「それで」
「そのお客様ごと、突然いなくなってしまったようで……」
「ちゃんと、探したのか。まだ宴会場にいるんじゃねェのか?」
陰間は勝手に店の外に出ることは許されていないし、酒の席だ。やたらと絡む客もいるだろう。
「他の女中にも聞いて回ったのですが、どうやらそのお客様が中座されたようで、総悟さんを抱えて二階に行くと……」
「二階も探したんだろ」
「すべての部屋を確認しましたが、本当に姿が見えないのです」
そこまで言って、女中が震える手で顔を抑えた。
「今夜も、土方さまがいらっしゃると言って……。総悟さん、とても楽しみにしていらっしゃったのに」
嫌な予感がした。
土方は懐から携帯電話を取り出し、すぐに通話ボタンを押した。
◇
「肌の白さ、髪の色素の薄さ……これは高値で売れるな」
「こいつの目の色は」
「赤だった」
暗闇の中で、男たちが厭な笑みを浮かべながら眠る総悟の体に触れる。
「女郎をやめて、陰間に目をつけたのは正解だったな」
「この位の歳の子どもは貴重だからな……特に男は」
「違ェねェ」
「体の方は、どうする」
「……改める。腕と脚、きつめに縛っとけ。口も塞げよ。前回はうるさくてたまらなかった」
「了解」
男の一人がその場に置いてあった麻袋から、縄と布を取り出した。 目を閉じたままの総悟の体を抱き抱えると、両腕を背に回させて手首を縄で縛った。外れることのない様に、何重にも縄を交差させる。 さらに総悟の胸元から腕にかけて上半身が動かせない様に、ぐるりと縄をかけた。
そこまで終えると、総悟の体を抱き上げて、暗闇のさらに奥へと運んでゆく。木箱に囲まれた奥の柱まで運ぶと、その前に座らせて上半身を柱に縛り付けた。
総悟の両脚をぐっと開かせると、左右の脚をそれぞれ折りたたむ様にして膝を縛ってゆく。
「高級茶屋の陰間は格が違ェなァ……同じ男とは思えねェ」
縄がかけられた総悟の体に近づき、一人の男が言った。
「このにおい……たまらねぇ……」
男が総悟の顎に手をかけると、口を開かせて布を噛ませた。
「もうしばらくしたら薬も切れる。……ちゃんと検査しとけよ。特に締め付け具合はな」
男たちの厭な笑い声が暗闇に響いた。
◇
「確かに見たんだな!?」
土方は茶屋の一階の廊下で、宴会で酒や肴の配膳をしていたという女中の肩を掴んで問い詰めた。
「あの、お客様の後ろ姿しか見えなかったんですが……多分、総悟さんだったと思います……。明るい茶色の髪の毛が少しだけ見えたので……」
「……」
土方は女中の肩から手を離した。
「でも、そのお客様が階段を通り過ぎて裏口に向かったのは確かに見ました」
土方は拳を握る。
「悪いが今日はこれで失礼する。もし総悟が店に戻ったらすぐに連絡をくれ」
もし、これが今真選組が追っている拐かしの一件だとしたら。総悟はその男によってターミナル付近の倉庫に連れて行かれてしまったのかもしれない。 いや、もしかしたら江戸を離れた遠い地に連れ去られてしまおうとしているのかもしれない。地球を離れたどこか遠くの星に売り飛ばされてしまう恐れもある。
「今日の客は、地球人だと言ったな」
「はい。お侍さんのようでした。二本差しの方々がほとんどでしたから」
攘夷志士くずれが、金欲しさに人身売買を行っているのかもしれない。 万が一のことがあって総悟の身に何かあったとしたら。あの白い肌が刀で傷付けられたとしたら。もし、乱暴されてしまったら――。
茶屋の出口に向かう途中で涙を流す総悟の顔が脳裏に浮かび、土方は目の前が真っ赤になったような気がした。