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隊服代わりに着せている黒い着物と袴の上から腰を抱くと、この体はびくりと震える。するとすぐに緋色の瞳は伏せられてしまう。
腰を抱く手はそのままに、土方はもう片方の手で総悟の頰に触れる。すると土方の手に総悟の白い手が重なった。そのままどちらからともなく指を絡ませ、二人の顔が近づく。触れるだけの口付けを交わすと、土方の手が再び総悟の腰にまわった。
長い指先が総悟の黒の袴の紐をゆっくりとほどいてゆく。袴を緩めると、土方は総悟の腰を抱き上げて自分の膝の上にのせた。
「今日は、何してた?」
「稽古と、近藤さんのお使い……」
亜麻色の髪を梳く土方の指が、総悟の小さな耳をそっと撫ぜた。
総悟が湯島から真選組の屯所に移り住んでから、しばらく経つ。とにかく早く総悟の身柄をこの真選組の屯所に移したくて、あの時は慌ただしい引っ越しになってしまった。
突然の環境の変化に総悟の心と体が付いていけるか、一時期は近藤と共に心配をしたものだった。しかし総悟はさほど大きな戸惑いを見せず、日々淡々とここでの生活を送っているように見える。
近藤は総悟の様子を気にしてしょっちゅう様子を伺いに来ては食事に誘ったり、外に連れ出そうとしたりする。茶屋にいた頃から面識のあった山崎をはじめ、最近は隊長格の斎藤や原田とも一緒にいることが多くなったようだ。
総悟の黒い肩口に頭を預けた土方は、ゆっくりと息を吸い込んだ。
今でもわずかにあの上品な香りが漂ってくる気がする。総悟の体を自分の胸に抱き込み、土方はしばらくの間掌を緩く移動させて小さな背中や細い腰を撫ぜた。土方の手が動く度に総悟の体が揺れる。その呼吸も次第に早まってゆく。
数日おきにしか会いに行くことができなかったあの時とは違い、今は手を伸ばせばこうしていつでも触れることができる。
「今日は、慣らしたのか……?」
土方の手が、総悟の黒い襟の内側にするりと入っていった。長い睫毛がふるふると揺れるだけで、返答はない。土方の指が総悟の頰をすっと滑った。そんな些細な刺激でもこの体を昂ぶらせるには十分だ。
薄桜色の小さな唇が言葉を紡ごうとほんの少し開けられる。
その言葉を待ってやってもいいのだが、今日は早くこの白い肌に触れたい欲が勝った。膝にのせたままの総悟の体を土方が抱き直す。すぐに小さな頭を上げさせると土方はその唇を塞いだ。
◇◇◇
薄暗い副長室で四つん這いになり、震える膝を何とか支えながら腰を上げる総悟を土方は目を細めて見つめていた。総悟の尻を隠していた黒い着物を捲り上げ、腰を掴みぐい、と上に持ち上げる。
「あぅ」
滑らかな双丘を、土方の手が軽く叩く。
「もっと、上がるだろ」
その拍子に、とろりと総悟の小さな孔から蜜が漏れる。やはり、総悟は今夜もそこを仕込んでいた。
「ん…ッ……ぁ、あ……」
土方は人差し指の先を総悟の中にゆっくりと差し入れる。入り口の敏感なところをわざと擦って指を抜き差しすると、目の前の総悟の腰がゆらゆらと揺れた。
もう、沖田総悟という人間は陰間ではないのだから事前に仕込む必要などないというのに。
総悟が屯所に来てから、すでに幾度か体を重ねている。その度にこのように中を準備する必要はないと伝えているのだが、総悟はそれでもこうしてここをたっぷり濡らして副長室を訪れる。
土方は狭い中を探っていた指を抜き取ると、総悟の体に覆い被さった。総悟の耳元に口を寄せて囁く。
「今日は、前も触るか……?」
土方は揺れる総悟の腰を撫ぜながら、膨らむ総悟の花芯の先端に黒い着物の上からそっと触れる。
「だ……め、……、」
腰を高く上げたまま、総悟が必死で首を横に振った。
陰間の名残か、総悟はいつもこの問いに対して首を横に振る。どうしても前を見られたくないらしい。初めて総悟と体を重ねた時も勃ち上がった総悟自身を見せまいとわざわざ目隠しをされたぐらいだ。
今更恥ずかしがることもないだろうと土方は思うのだが、本人にとっては重要な問題らしい。嫌だと言うのであれば無理強いをするのも気が引ける。土方は形を変えつつある総悟自身から手を離した。
安堵したのか、総悟の口から小さく息が漏れる。
「じゃあ、こっちな」
土方は総悟に覆いかぶさったまま、両腕を小さな体に巻き付けた。すでに乱れていた襟をさらに大きく広げると、総悟の胸元を揉み込むようにして刺激していく。ぷくりと膨れ上がる総悟の胸の先端に土方の指が当たる度に、小さな口から悲鳴が漏れた。
口を吸って腰や太ももを撫で上げて、こうして胸の先端を弄ってやるだけでいい。それだけで、相互の小さな孔はきゅうきゅうと締まり土方をひどく満足させる。
「ぁ、あぁ、ゃ……、も……」
胸の先端をぎゅうと捻ると、総悟の腰が一際大きく揺れた。爪先で先端を引っ掻くようにして胸を虐めると、掠れた声を上げて総悟の膝がついにがくりと畳に落ちる。
「まだ早いだろ……」
土方は再び目を細めてふるふると痙攣する総悟の腰を掴むと総悟の尻を高く上げさせた。
「そうご……」
くたり、と蜜が総悟の孔から垂れていく。くちゅくちゅと音を立てて、土方は再び指を差し入れて総悟の中を掻き混ぜた。今夜は特に入念にほぐされている気がする。
土方はすぐに指を増やし、抜き差しするスピードを早めてゆく。
「ん、ん……ッ……ん……、」
土方の指が入り口や奥の肉壁を擦る度に総悟の亜麻色の頭が左右に揺れた。素直に快感を拾ってしまう総悟の体が愛おしい。
「もう、いいな……」
土方の指を包み込む総悟の中は、きょうもしっとりと濡れている。一刻も早くそこをたっぷりと犯してやりたくなって、土方は素早くベルトを緩めると隊服のスラックスの前を寛げた。
ふるふると揺れる総悟の腰を支え、土方は完全に勃起した己を一気にひくつく孔に挿し入れた。
「んぁ……ッ!」
足をがくがくと震えさせる総悟の中が一気に収縮する。
「……くッ」
その強すぎる締め付けに、土方も何とか耐えた。快感をやり過ごすと、ぐちゅりと音を立てながら土方はゆっくりと腰を引く。膨れ上がった己をギリギリまで引き抜くと、再び総悟の腰をぐいと掴み奥を貫いた。
「んぁ……!」
総悟の中が再び強く締まる。
「……ッ」
――本当に、気持ちがいい。
「ぁ・ぁ・ぁ……!」
次第に早まる挿入のスピードに、総悟の嬌声に悲鳴が混じり始めた。
「ゃ……ッ!!」
土方の指が膨れ上がった総悟の胸の先端を摘まむと、さらに総悟の中が強く締まる。
――たまらない。
この敏感な胸を虐めながら、すっかり芯が通った総悟自身を擦ってやったらもっとこの孔は締まるだろうか。きっと総悟は嫌がるだろう。しかし、必死に快感に耐える総悟の姿を見ているとさらなる快感を与えたくなってしまう。
総悟の小さな胸を弄る右手はそのままに、土方は震える腰を支えていた左手で黒い着物に包まれたままの総悟自身を緩く握る。
「ぁ……!」
びくん、と総悟の体が揺れて、小刻みに震えた。相変わらず、総悟の勃ち上がった先端は濡れていない。あっけなく射精することなく達してしまった。
「おい、触っただけだぞ……」
いつもであれば、総悟がこうして極まってしまった後はほどほどに中を突き自分自身も達するのだが――。
土方は弛緩しかかった総悟の腰を抱え直し、再び抜き挿しを開始する。指で胸の先端を擦りながら、畳の上にがくりとうなだれる総悟の耳を舐めた。
やはり、試したくなってしまう。前にも触れてやったら、この小さな体はどんな反応を返してくれるのか。
「今日は、こっちでもイかせてやる」
「……ぇ」
土方は素早く総悟の花芯の裏筋を指で撫で上げると、全体を手で包み緩く扱き始めた。
「ゃ……! だめ、それ……、ゃだ……ぁ、ん……、」
胸と総悟自身に与えられる甘い刺激に、総悟の中が強く締まる。
「そーご……ッ」
強烈な締め上げに耐えながら、土方はさらなる快感を求めて指と腰の動きを早めていく。
「ぁッ、ぁ・ぁ・あぁ……」
「ゃめ……ッ、おねが……ひ、かた、さ……ッ」
土方の手の中でついに総悟自身が吐精し幾度か総悟の中が強く締まるも、土方のぎらりと光る目の力は強くなっていく一方だった。
「そうご……」
土方はふにゃりと萎えた総悟自身を再び擦りあげると、先端の口をぐちゅぐちゅと親指で押しつぶすように刺激する。
「ぁ……! ゃ……ぁ、」
完全に弛緩した小さな体を幾度も揺さぶり、土方はひたすらに総悟の体を味わい尽くした。
◇◇◇
「だから、悪かったよ……」
「……」
「怒ってんの? お前……」
「……」
「なぁ、総悟、」
「話しかけないでくだせェ」
土方は背を向けて同じ布団の中で眠る総悟の腰をそっと抱き寄せようとする。
「触らないでくだせェ」
低い声でぴしゃりとそう言い返されてしまい、土方の腕もぴたりと止まる。
「……だから、悪かったって」
先ほどから何度も謝罪の言葉を口にしているのだが、総悟の体はぴくりとも動かない。
「嫌だって、言ったのに……ひでェや……」
「……ごめんな」
何とか許してもらおうと再び土方が手を伸ばすと、総悟は掛け布団を引っ張り顔をうずめてしまう。やはり、前を触られてイってしまったのが相当お気に召さなかったらしい。
完全に不貞腐れてしまった総悟の頭をポンポンと軽く撫ぜると、土方はため息を吐いた。すると土方の手から逃れるようにして、総悟は掛け布団をさらに大きく引っ張り布団の端っこまで移動する。
「わかったよ。今日はもう触らねェから」
「今日どころか明日も明後日も、ずっと触らねェでくだせェ」
「……だから、悪かったって」
これは当分許してもらえそうにないかもしれない。布団に包まる総悟の後ろ姿を見て、土方は再びため息を吐いた後に小さく笑った。
[End.]
初出:2022年12月31日
梅が香の後日談はこれからもちょっずつ書いていきたいです。